せり人の仕事内容
せり人というのは、卸売市場で行われるせり(競り)を仕切る人のことを言います。
卸売市場では青果や鮮魚が毎朝取引されていますが、これらの商品は定価が決まっているわけではなく、毎日せりによって落札価格が異なります。
買う側は買取価格を提示し、最も高い買い取り価格を提示した人がその商品を買うことができるシステムになっています。
このせりに欠かせないのがせり人で、できるだけ高く商品を売りたい生産者と、なるべく安い値で買いたい仲買人のそれぞれのニーズを踏まえながら公正な取引を行っていくという役目があります。
せり人の魅力
卸売市場は騒がしく、買いたい値段を口で言っても聞き取れない可能性があるので、せりでは「手やり」と呼ばれるせり独特の指のサインを使って買取価格を提示する決まりになっています。
複数の仲買人が同時に提示する買取価格を素早く読み取って、効率的に落札者を決めるのがせり人の仕事です。
卸売市場でのせりは振鈴を合図にしてスタートしますが、せりが始まってから一つの品目を落札するまではわずか数秒ですから、機転が利くか利かないかが良いせり人であるための重要なポイントとなるわけです。
卸売市場は朝早くから始まり、始終活気に満ちていますから、市場の雰囲気が好きな人にはおすすめの職業です。
せり人の仕事の重要なポイントはコミュニケーション力にありますから、最初は市場での挨拶が何よりも肝心です。
せり人としてのスキルを習得することももちろん大切ですが、仲買人たちにできるだけ早く顔を覚えてもらい、信頼感と好印象を得ることが何より大切なのがこの職業です。
せり人になるために必要な資格やスキル
せり人になるための国家資格というものは特に存在しませんが、まずは卸売り会社に就職して経験を積み、各市場で定めている基準をクリアする必要があります。
例えば大阪府の卸売市場でせり人として働く場合には、大阪府が行なっている認定試験を受験して合格し知事が行う登録を受けなければなりません。
認定試験を受けるためには満20歳以上で、しかも関係業務に3年以上従事していることが必要不可欠です。
「せり人登録申請書」は大阪府の「申請・届出等のご案内」のコーナーからダウンロードすることができます。
申請にあたっては登録申請書の他に履歴書、誓約書および写真と氏名・住所を証する書類が必要となります。
東京都卸売中央市場でせり人として働く場合には、「せり人能力判定試験」を受けて合格しなければなりません。
ちなみに試験の合格率は平成30年度の場合、水産物部が65.7%、青果部が79.6%、食肉部が100%、そして花き部が90.9%となっています。