醸造家の仕事内容
醸造家というのは、発酵作用を利用した酒や食品などを作る人のことをいいます。
微生物の力を借りて食品発酵させ、熟成させるのが「醸造」で、日本ではもともと麴を使って発酵させるのが醸造でしたが、最近では麴以外の微生物を使った食品も醸造食品と呼ばれています。
醸造食品の主なものとしては、日本酒やワイン、みりん、味噌、醤油、チーズなどがあります。
健康や環境を配慮した食品が求められている昨今、醸造食品が新たに脚光を浴びています。
醸造食品はさまざまな範囲にわたっているため、醸造家の一日の仕事を断定して説明することはできませんが、時間をかけて熟成させることが大切なので、根気のいる仕事ということができます。
個人として家で醸造を楽しみたいというのであれば、趣味として醸造を学ぶこともできます。
環境や気候条件、気温、湿度などに左右されやすいのが醸造食品の特徴ですから、家庭で醸造食品に挑戦すると、作るたびに出来上がりが異なってくるのも醸造食品の大きな魅力と言えるでしょう。
醸造家になるために必要な資格やスキル
醸造というのは化学反応ですから、化学系の勉強をした人にも醸造家の仕事はおすすめです。
例えば東京農業大学の世田谷キャンパスには「応用生物科学部 醸造科学科」があり、味噌や醤油などを作る日本古来の伝統技術と最先端のテクノロジーを学ぶことができます。
醸造科学科には「醸造微生物学分野」「醸造技術分野」「醸造環境学分野」の3分野があり、多彩な実験実習なども組み合わせながら発酵と醸造のメカニズムを学習していきます。
同大学は、醸造微生物学研究室や発酵食品化学研究室、酒類生産科学研究室なども擁しており、「醸造科学特別実習」がカリキュラムとして組まれています。
同学科の卒業生の主な就職先は、キッコーマン食品やキューピー醸造、麒麟麦酒、マルコメなどとなっています。
醸造関係の研究室がある大学としては、東京農業大学以外に広島大学なども挙げることができます。
広島大学の大学院生物圏科学研究科では、醸造微生物と酒類原料の機能の解明・開発を目指す「醸造資源開発学」の研究を行っており、内外から高い評価を受けています。
醸造学は専門性の高い学問とはいえ、年収が他の職業と比べてずば抜けて高いというわけではありません。
ワイン醸造家の場合、平均年収手取り額は305.2万円~398.6万円が相場ですから、月収にすると24.6万円ということになります。
醸造の中でも特にワインに的を絞るのであれば、「ワイン醸造技術管理士(エノログ)」の資格を取っておくのも悪くありません。
ワイン醸造技術管理士は、一般社団法人葡萄酒技術研究会エノログ部会が、エノログの資格を持つにふさわしいと判断した人に授与している資格です。